

女性の体重だけでなく、男性の体重も「妊娠のしやすさ」に関係しています。
また、妊娠前の肥満は妊娠しづらい原因になるだけでなく、妊娠後の赤ちゃんの健康にも影響を与えてしまいます。
この記事では、妊活中の適正体重や、健康的な体づくりの大切さについて詳しく解説します。
「夫婦の体重」と「妊娠」の関係

夫婦の体重は、妊娠のしやすさに影響を与えます。
女性は太り過ぎでも痩せすぎでも妊娠しづらい
太り過ぎていたり痩せ過ぎていたりする女性は、妊娠しづらくなるといわれています。
体重管理の指標となるのは、BMI(ボディ・マス・インデックス)という数値です。BMIは、国際的に使われている肥満度を示す指標であり、BMI18.5〜24.9が標準とされています。
BMIの計算方法
「体重(kg)÷(身長m×身長m)」
BMIが適正値より低い場合は、排卵が不規則になり妊娠しづらくなります。
一方で、BMIが適正値より高い場合は、子宮内膜の機能が低下したり、出産率が下がったりするリスクがあります。
以前は卵子の質が悪化するという報告もありましたが、最近では着床に悪影響を与えることが多いとされています。
参考:Fertil Steril 2022; 117: 783 doi: 10.1016/j.fertnstert.2021.12.031
参考:Fertil Steril 2022; 117: 790 doi: 10.1016/j.fertnstert.2022.01.035
男性の肥満も不妊に関係する
妊娠しやすさに影響するのは、女性の体重だけではありません。
実は、男性が肥満であることは不妊のリスクを高める要因になります。
肥満が男性の生殖機能にどのように影響を与えるかは、あまり詳しく分かっていません。しかし、性ホルモンの代謝に悪影響を与え、男性ホルモンの低下を引き起こし、その結果として精子の質が低下したり精子の奇形率が上昇したりすると考えられています。
肥満の女性が妊娠しにくいのはなぜ?

ここからは、肥満の人が妊娠しづらくなる理由として考えられていることをご紹介します。
体脂肪が増えるとホルモンバランスが乱れる
体脂肪が増えると、インスリンというホルモンが多く分泌されます。インスリンの過剰分泌は生理不順を引き起こし、排卵に影響を与えることがあります。
体脂肪が男性ホルモンに変化する
体脂肪が増えると、体脂肪の中に含まれている女性ホルモン(エストロゲン)の一部が男性ホルモンに変わることがあります。男性ホルモンが増えることで排卵障害となり、妊娠しにくくなることがあります。
内臓脂肪が卵巣機能に影響する
肥満によって内臓脂肪が増えると、脂肪細胞から分泌される「アディポネクチン」という物質が減ります。アディポネクチンが減ることで、卵巣が正常に機能しにくくなり卵子の成熟を妨げてしまうため、妊娠しにくくなります。
血流が悪化し、身体が冷える
肥満が進行すると、体内の血流が悪化し身体が冷えやすくなります。冷えによって子宮や卵巣の機能が低下し、妊娠しにくくなる可能性があります。
肥満が多嚢胞性卵巣症候群を引き起こすことがある
肥満は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のリスクを高めます。多嚢胞性卵巣症候群では、卵胞が育たず定期的に排卵が起こらないため生理不順となり、不妊の原因となります。多嚢胞性卵巣症候群は、一般的な不妊症の原因の一つです。
不妊治療中の方には減量をおすすめ
不妊治療をしている方は、夫婦ともに体重を適正に保つことが大切です。
肥満は治療の成功率に影響を与えることがあります。
ただし、減量を待っている間に年齢を重ねてしまうこともあるため、不妊治療と同時に少しずつ体重を整えていくことが理想です。
不妊治療には費用もかかるので、一回一回の治療成功率を高めるためにも、できるだけ健康的な体作りを心がけましょう。
赤ちゃんのためにも適正体重を目指そう
適正な体重を維持することは、妊娠しやすくなるだけでなく赤ちゃんの健康を守るためにも大切です。
肥満の妊婦さんは、妊娠中に妊娠高血圧症候群を発症するリスクが高まり、頭痛やめまい、むくみなどの症状が現れることがあります。重症化すると赤ちゃんの発育が遅れたり、最悪の場合は母子ともに命に関わることもあります。
また、肥満は、妊娠糖尿病のリスク因子です。糖の代謝がうまくいかず血糖値が上昇すると、流産や早産のリスクや、生まれた赤ちゃんが低血糖になるリスクが高まります。
赤ちゃんの健康を守るためにも、妊娠前から適正体重を意識し、無理のない範囲で体を整えていくことが大切です。
不妊に関するご相談は、当院へ
当院では不妊カウンセラーである内名院長が不妊鍼灸の施術をしています。
妊活中の体重管理に関する相談はもちろん、妊活に対するさまざまな相談に対応できます。不妊でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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