夫婦生活の回数を増やして着床率アップ!
以前、ブログ内で着床率を上げるワンポイントアドバイスという記事をあげましたが、今回はその続きです。
前回の記事はこちらから。
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そこでは子宮内に精液を暴露させてあげることで免疫寛容(免疫細胞による受精卵の攻撃抑制)が起こり、着床しやすくなるという内容でした。
今回はそれ以外にも頻繁に避妊をしない夫婦生活をもつ意義をお伝えします。
受精卵が子宮内膜に着床するにあたって、子宮内膜の脱落膜化という変化が起こることが重要です。
脱落膜化が起こらないと着床できないのですが、通常はE2(エストラジオール:卵胞ホルモン)とP4(プロゲステロン:黄体ホルモン)によってその変化が起こります。
体外受精ではこれらのホルモンを薬で補充するのですが、補充しているにも関わらず理想の数値にならない時もあります。
また黄体ホルモン不足による黄体機能不全の方も同様です。
そうなると子宮内膜が脱落膜化できずに着床できないかもしれません。
しかしこの報告では精液が子宮内膜の脱落膜化を誘導すると報告しています。
Hum Reprod 2020; 35: 617(米国)doi: 10.1093/humrep/deaa015
これによると精液の成分が子宮内膜の脱落膜化を誘導し、その物質がインターロイキン11だったと報告しています。
E2やP4が無くても脱落膜化が起きていたようなので、タイミング法の方や人工授精の方、体外受精中の方全ての不妊治療中の方にとってプラスに働くでしょう。
個人的にですが、これにより確率が1%でも上がるのであればより頻回に夫婦生活をもった方が良いと思います!
不妊治療はプラス要素を積み上げ、マイナス要素を排除し、毎周期の期待値を上げていくことが大切です。
注意点
上記のように子宮内に精液を暴露させておくメリットは多くあるのですが、注意点が三点あります。
一点目は体外受精の胚移植において、移植周期は避妊するように指導している病院が少なくないという点です。
理由は移植周期に避妊をしない夫婦生活をすることで感染症による移植キャンセルの懸念が出てくるからです。
このように避妊するように指導している病院に通われている方に関しては病院の指示に従ってください。
しかし避妊をしない夫婦生活による感染症による移植キャンセルのリスクはかなり低いので、そのようなことを懸念するよりは少しでも確率を上げるためにも避妊をせずに夫婦生活もった方が良いという医師もいます。
二点目は自然周期移植の場合排卵するので、その周期に排卵した卵子と移植した胚の両方が着床し多胎妊娠になるリスクがあるということです。
多胎でも妊娠できれば喜ばしいことですが、同時に様々なリスクを抱えることにもなります。
自然周期移植で避妊をしない夫婦生活をもつのであれば、排卵日付近はやめておいた方が無難です。
三点目は着床を助ける意味での避妊をしない夫婦生活はどの方でも有効ですが、必須ではないので無理にする必要はありません。
男性側がEDで夫婦生活ができないご夫婦もいますし、ステップアップするにつれ夫婦生活が次第に無くなるご夫婦も珍しくありません。
しないといけないけど、なかなかできない、夫婦生活をもつことがストレスというご夫婦は無理をしなくても大丈夫です。
以上をご参考に、取り入れられそうな方は是非取り入れてみてください!
皆さんが妊娠・出産されることを願っております。
五月が丘鍼灸治療院・内名博志
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